【2020東京オリンピック】アルゼンチン代表カヌーチームとの日々
― 長野県下諏訪町・諏訪湖での事前合宿サポート ―
こんにちは。トレーナーの柴﨑大です。
今回は、2021年に開催された東京オリンピックでの特別な経験、アルゼンチン代表カヌーチームとの合宿サポートについて書こうと思います。
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■ オリンピック延期、そして始まったサポートの準備
2020年、世界的なコロナウイルス感染拡大により東京オリンピックは1年延期。
翌2021年、各国の選手団が続々と日本にやってくる中で、私は友人の紹介を通じてアルゼンチン代表チームのサポートを任されることになりました。
最初は茨城県境町がホストタウンとして受け入れていた
柔道・女子バレー・女子フィールドホッケー代表チームの生活サポートを担当。
地元坂東市の宿泊施設でボランティアスタッフとして、
食事や補食の準備、警備などを行いました。
当時は“バブル方式”が徹底されていて、
選手たちは宿泊先と練習施設の往復のみ。
外部との接触は一切なしという厳重な感染対策が敷かれていました。
補食にはプロテイン、ナッツ、ヨーグルトなどが人気で、
特にコーラゼロが好評。追加で買い出しに行ったことを今でも覚えています(笑)



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■ アルゼンチン代表カヌーチームとの出会い
その後、私は長野県下諏訪町・諏訪湖で合宿を行う
アルゼンチン代表カヌーチームのサポートに帯同することになりました。
羽田空港まで選手の出迎えに行きましたが、
コロナ下での検査や入国手続きが長引き、
静まり返った空港でひとり時間を過ごしたのを覚えています。
夜中に下諏訪へ到着し、その日は休息。
翌日から本格的な合宿サポートがスタートしました。


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■ 合宿の1日:サポートと治療の毎日
朝から選手の食事準備、トレーニング、水上練習のサポート、
そして私のメイン業務である治療・パーソナルストレッチ・マッサージを担当しました。
PCR検査は1日3回。朝・昼・夜と徹底されており、
感染防止に最大限の注意を払いながらの日々でした。
練習が始まると、上腕・背中・骨盤周りなどの疲労が目立ち、
特にパドル操作に関係する筋群を中心にケアを行いました。
鍼治療を希望する選手も多く、
中でもルベンヌ選手は鍼灸師の資格を持っており、興味深く日本の技術を体験していました。



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■ 食事・補食・そしてマテ茶
食事はお弁当形式で届きましたが、
タンパク質が少なめだったため、サラダチキンや卵を追加購入して対応。
デザートには「シャトレーゼのアイス」が人気でした。
アルゼンチン選手たちは健康意識がとても高く、
脂質や消化にも気を配り、いつもマテ茶を飲んでいました。
マテ茶の器には名前が刻まれていて、選手一人ひとりが大切に使っていたのが印象的です。

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■ 限られた環境でも生まれた絆
外出禁止の中で、みんなで開会式をモニター観戦しながら士気を高め、
コーチの誕生日には選手・スタッフ全員でお祝い。
地元の方々から頂いた日本らしい食器や法被をくじ引きで分け合うなど、
心温まる時間を過ごしました。
諏訪湖では夜に花火も上がり、
「日本の夏」を少しだけ感じてもらえたのではないかと思います。



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■ 終わりに
感染対策の中、限られた環境でのサポートは決して楽ではありませんでしたが、
言葉や文化を超えたチームワークと、
オリンピックという舞台を目指す選手たちの真剣な姿に、心を動かされる毎日でした。
この経験は、私にとってかけがえのない宝物です。
世界のトップアスリートと共に過ごした時間、
その一瞬一瞬が今でも鮮明に思い出されます。

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🛶 柴﨑 大
2020東京オリンピック
アルゼンチン代表カヌーチーム トレーナー帯同記
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